真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
今朝の目覚めは最悪だった。

まず、昨日既読スルーしてしまった広務さんからのLINEのこと。

私は爆音のアラームを止めた後、恐る恐るLINEを開いて、広務さんから追加のメッセージが来ていないかを確認した。

結果、LINEは昨日のままだった。

”俺の両親に会ってほしい”

昨夜からエンドレスで、このメッセージに返信する文面を考える。そして同時に、出社の準備を進める。私は断じて器用な人間じゃない。だから、考え事をしながら朝食を作ったり、メイクしたり、ヘアセットしたりというのが、なかなかスムーズに出来ない。

例えばこれが、会社も仕事もなくて、ただ広務さんへの返信メッセージを考えていていいのなら、こんなにもジレンマを抱えずに済んでいるに違いない。

だけど、私は独身だから会社に行って仕事をして食い扶持を自分で稼がなくてはならない。

ふと過ぎった現状が突如頭の中でループし始めて”独身だから”が呪文のように回りだす。

独身だから、広務さんと結婚すればいい。そうすれば......。

「広務さん、おはよう。ステキなエンゲージリングを本当に、ありがとう。昨日は嬉しくてドキドキして、何てメッセージを送ったらいいか分からなくて......。是非、ご両親にお会いしたいーー」

メッセージの半ばで指先が止まり、これ以上打ち込むのをやめて大急ぎで消去した。

私、自分の気持ちに嘘をついてる。

広務さんの両親には会えない。このエンゲージリングも返そう......。

それが私の出した答えだった。

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