終わりで始まる進化論~第一部~

通されたのはシノミヤの部屋だった。
羽柴の部屋とは違い、家具や部屋の雰囲気はナツキの居た場所とほとんど変わらずシンプルな物だ。






整然された部屋。悪く言えば殺風景だ。






「お前、所長からどこまで聞いてる?」
「所長?」






シノミヤの問いかけにナツキは小首を傾げる。






ここに通されてそんな貫禄がある風貌の人間に出会ってはいない気がするんだけど。






「所長だよ。お前会ったんだろ?あの学校の件で話を聞いたんじゃねえのか?」






「いや、羽柴さんって人には話を聞いたよ。でも所長なんて感じの人はまだ会って……」





「んだよ。やっぱ話聞いてんじゃねーか」




「え?いや、え?所長って、羽柴さん……じゃないよね?」




「は?いや、所長だけど。何だよ?その顔は」




嘘だと言って欲しい、なぜかナツキが内心でそう訴えていた。




話した感じ落ち着きがありそうに見えて、一番の自由人ではないのかと思われる羽柴が所長とは予想外だった。





しゃべり方は確かに落ち着いてはいるが、貫禄という雰囲気はない。





そもそも、あの人何歳ぐらいなのだろうか。若そうではあるが、銀髪のせいもあって、年齢が全く予想できない。





いや、今は羽柴さんが所長である事は置いておくべき事だろう。




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