終わりで始まる進化論~第一部~

化け物の鳴き声へと変化した食肉植物は、第二形態人種(セカンドタイプ)の巨体な人間の足に喰らいつき、皮膚を食い破っていく。





痛点はあるのか、肉付きの良い手が噛みつく歯を引き剥がそうとするが、ヴェルベット・アイは肉だけでなく骨すらも噛み砕いた。




巨体が大きく傾いて倒れていくと、地面に打ち付けられた瞬間に地響きが起こる。




横たわった大きな腹に再び牙を立てていく、腸を開き花を傾けて血肉を貪る姿は、草食動物の狩って食事にありつく獰猛な生き物に似ていた。




時折顔を上げるように花びらを開くたびに赤い雨が降った。




目を覆いたくなる光景だが、アリスは相棒と進化生物の行く末を見据えている。
痙攣してやがては動かなくなった第二形態人種(セカンドタイプ)の最期を看取り、アリスは静かに手招きする。




「おいで、ヴェルベットアイ」



ゆっくりと振り返った花の化け物は、主人に従順なようで大きな葉を地面に付けて這うようにアリスの元へと戻っていく。




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