男嫌いな僕と新撰組。
男嫌いな僕と一矢の頼みごと。

冷たい風が頰を叩き、髪が揺れる。

冬はきらいだ、なんて独り言を呟いてから溜息を吐いた。


とひとりでぼーっとしていると


「ねえねえーキミさ、オレらと今から遊ばねぇ?キミかわいいし、気に入ったー」


肩を組まれ、話しかけられた。


ナンパというやつだろう。あー、うざい。うざいったらありゃしない。



『そういうの、やめてくれませんか』


ナンパってきらいなんだよね。言ったでしょ?うざいって。



「えー、なんでー?いいじゃん、いいじゃん!ね?オレらといたら楽しくなるってー」



なに、こいつらしつこい。てか、ふつーにくどい。
ほんとむり。



『いや、いいんで』


「は?調子のるなよっ!」




ぐいっと僕の身体を引き寄せ、歩き出そうとするナンパ野郎。

調子のってないし。のってるのは、おまえらだろ。

…うん、まずは


『あの僕、おとこなんですけど』


「ーへっ?!」



もう片方の腕を使って、相手の腕を掴み、足を止めさせると勘違いしてるだろう部分を指摘する。

それでもきょとんとさせるのでもう一度繰り返す。


『僕、お、と、こ、なんだけど?』



耳悪いの?きみ。

< 1 / 81 >

この作品をシェア

pagetop