年下彼氏
「あー、すんません。大丈夫っすか?ブレーキ壊れてんですよこのチャリ」
聞き覚えのある声に顔を上げれば、少しも悪くなさそうに謝る亮介がいた。
「おい!!なに考えて――」
咄嗟に避けたのか少し遠くにいたあいつが亮介に掴みかかろうと近付いた。
その手を払い、逆に亮介が相手の胸ぐらを掴みあげるのを、まだうまく事態を飲み込めない頭でぼんやり見てた。
「何考えてる、だって?こっちの台詞だよ、明らかに嫌がってんだろ」
「関係ねーだろ?」
「あるから言ってんだよ」
「は?・・・あぁ、なんだ。もしかしてお前、美奈子の彼氏か?じゃあ、俺とキョーダイだなぁ?」
口を歪めて、ばかにしたように笑うあいつを、心底嫌いだと思った。