年下彼氏
「……はぁ」
つっかえていたことが全てため息と一緒に吐き出される。
正直、気が抜けた。
怒りたい気もしたし、泣きたい気もした。
「色々悪かったな。お前はあまり感情を表に出さないからな、気付けなかった……。でも写真にはちゃんと映ってたんだよな、いちばん心を閉ざしてたのは、このぐらいか。中学の時か?」
差し出された写真は中学卒業前のもの。
女が嫌いで、だからめちゃくちゃにしていい。
そんな浅い考えで、とっかえひっかえ遊んでいた頃。
表面的に笑っているだけで、瞳に光がなかった。
「――それで、今はこんな感じだ」
次に差し出されたのは、笑ってる美奈子と、それを見てる俺の写真。
場所はグラウンド、ユニフォームを着てるってことは、練習中か。
「隠し撮りはまずいだろ、親父……」
「いや、注目はそこじゃないだろ。お前がこんな顔するようになったんだ、美奈子ちゃんに感謝だよ」
「こんな顔ってどんなだよ?」
「こんな顔だよ」
いつもの顔と変わらない。
ただ、真剣にただ独り美奈子を見つめる俺が、映っているだけだった。