年下彼氏



***



――あれから3週間が経った。

美奈子は無事に卒業式を終え、今日は大学の入学式だ。
そして、俺は無事に3年に進級した。
野球部では、とりあえずエースの座を守れている。




「おはよ」


卒業して、美奈子はまた大人っぽくなった。
長かった髪を切って、ボブにした。

大学には自転車ではいかないらしい。


「おはよう。スーツ姿もいいね……」

「なにそれ、そんなことばっかり」


美奈子は、まだ時々考え込むようにすることがあるけど、徐々にそれもなくなっていくと思う。
今までの分を取り戻せるくらいになってくれればいいと思ってる――。



家族の事はというと、あれから親父と母親の墓参りに行った。
美奈子も一緒に。

言葉には出さなかったけれど、少しの文句と精一杯の感謝の気持ちを伝えに。



週刊紙で騒がれていたあの女優は、最近では息子と仲良く取材に答えたりしている。
家族もののドラマに出るらしい。





そして俺たちは――、


「……亮介、新しい約束忘れないでよ?」

「美奈子もね」


――新しい約束をした。

これからの二人の関係に、願いを込めて。





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