リライトリライト
 日曜は元々買い物に行くつもりで前に会ったついでに翔子と約束をしていた。
 結婚式の準備が忙しいんじゃないかって思うけど、瑛士の仕事が忙しいと打ち合わせ出来ないらしくて買い物くらい余裕で行けるらしかった。

「新しいコート買っちゃおうかなぁ。」

「翔子は仕事、続けるの?」

 翔子も事務。会計事務所の事務だから難しいこともしてるみたいだ。

「んー。まぁね。当分はね。」

「そっかー。まだまだ買い物誘ってもいいのかなぁ。」

「私はいいんだけどさ。
 朋花は恋人を作りなさい!」

「はーい。」

 翔子にも隆弘に会ったことは言いにくかった。
 新しい恋を散々勧めてきていた翔子に言ったら、なんて言われるか。

 それとも「隆弘のこと好きだったもんね」って応援してくれるかな。

「ちょっとトイレ行ってくるから好きに見てて。」

「ここのソファーに座ってる。
 疲れちゃった。」

「分かった~。」

 翔子と別れて、ソファーに体を沈めた。
 このくらいで疲れるようじゃ体力が落ちてるなぁ。
 もっとジムに行った方が……。

 何気なく視線を向けた先に隆弘が歩いていた。
 こんなところでまた会うなんて偶然……隣には誰か一緒にいるみたいで。
 遠くの顔が確認できて愕然とする。

 隣には仲良さそうに歩く奈々………。
 どうして……。

 隆弘は奈々が当時、私から隆弘を奪おうとしてたことは、これっぽっちも気づいていなかったと思う。
 でも奈々は………。

 電話でも奈々は何も言ってくれなかった。

 だからって何も言えない。
 自分は別れた身の上に、隆弘は奈々が自分を好いていたことも何も知らないのだから覚えている以前の問題だ。

 何を言えるというのか…。





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