リライトリライト
12.嘘と本当とため息と
 今日はお店に先に入ってるという隆弘を見つけて席に着いた。

「遅かったね?シャワー混んでた?」

「えっと、ううん。
 それより何を食べるの?」

 隠さなくてもいいのは分かってる。
 なのに「俺なら元彼みたいに黒谷を泣かせたりしない」って言葉が浮かんで言いづらくなった。

 頼んだパスタを食べる姿は懐かしい。
 あの頃みたいにスプーンを使ってフォークに巻いている。

 その仕草をすっごく見てたみたいで笑われた。

「本場はスプーンを使わないらしいね。
 それでもこうやって食べた方が綺麗に食べれるんだ。」

 そうそう。
 そんなようなことを話してたな。

 一人懐かしんでいると不意に質問をされた。

「本当に付き合ったりしてなかった?」

 急に確信を突くような質問でギクリとする。
 視線を泳がせて俯いた。

「……私は好きだったんだけどね。
 言えなかったの。
 あなたは人気者だったから。」

 人気者だったのは本当。
 隆弘は気づいてなかったみたいだけど。

「そうだったんだ。
 モテてた記憶がないなんて損した気分だな。」

「ふふっ。そうね。」

「しかも君に好かれていたのに気づかない大馬鹿者だったんだね。」

「大馬鹿者って………。」

 予想していなかった展開に胸が騒いだ。
 聞きたかったはずの言葉が待っていると思うのに、続きを聞きたくない自分がいた。

「これも何かの縁だからさ。
 俺たち付き合ってみない?」

「えっと…。」

 言葉を濁す朋花に隆弘は軽く笑って言葉を加えた。

「いいんだ。返事はすぐじゃなくて。」

「……考えさせて。」









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