君の思いに届くまで
4章
4章




マミィに琉にはフィアンセがいると聞かされて防御戦貼られたっていうのに、そんなことお構いなしに早く一緒にカフェに行きたくてうずうずしている自分がいた。

パーティも終盤に近づき、招かれたクルーズ夫妻の友人達も1人、2人と挨拶をして帰っていく。

いつの間にか琉の姿が見当たらない。

私との約束、忘れてもう帰ってしまったのかなと急に不安になる。

すると、庭から姿を消していた琉が再びどこからか戻ってきた。

琉。

その姿を見ただけで鼓動がぶり返し、体中が熱くなる。

琉はマミィに何か話し掛けていた。

マミィは少し眉間に皺を寄せて首を横に振っていたけれど、琉が笑顔でその肩を抱くとしぶしぶオッケーと言って首を縦に振った。

そして、マミィが私の方に手を挙げて呼んだ。

私は急いでマミィと琉の待つ場所に走っていく。

「琉がこれからヨウをお薦めのカフェに招待したいんですって。どうする?」

マミィは腕を組んだまま少し困ったような顔をしていた。きっとさっきのフィアンセの件があるからまだ完全には納得がいかない様子だった。

いつだって私の事を大事に思ってくれるマミィだからそれはしょうがないよね。

私は軽く息を吐くと、マミィの目を見てにっこり笑い「大丈夫よ」とささやいた。

「じゃ、楽しんでらっしやい。あまり遅くならないようにね」

マミィはほっぺを真っ赤にしてようやく微笑むと私を抱き締め背中をポンポンと叩いた。

私は頷いてマミィの体からゆっくり離れると、琉の前に立つ。

琉が微笑みながら、私に腕を差し出した。

「これって?」

思わず琉とマミィの顔を交互に見た。

「いいんじゃない?」

マミィはしょうがないわねーって顔で私を促した。

腕、組んでいいってこと?

「イギリスでは男性が女性をエスコートするのは普通さ」

琉はそう言うと、迷う私の手を掴み自分の腕に絡ませた。

体中がまたバクバクいってる。

どうしよう。

すごく緊張するんですけど!

だけど、すごくすごく琉の腕は暖かくて頼もしくて吸い付くように私の腕が絡まっていた。

< 15 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop