恋に恋する
お誘い


「美海。チケットもらったんだけど行かないか?」

後輩の結婚式から帰って来た旦那が言う。
どうやら2次会の景品で当てたらしい。
「なんの?」
「ディナークルーズ。」

えっ。目が点になる。
なにそれ、ちょっと憧れてたやつなんですけど。

「12歳以下は入れないらしいからさ。さなはじぃじばぁばに預けて、2人で行こうよ。」

これって、デート?!
思い返せば、さなが生まれて4年間、2人きりででかけたことは1度もない。

「行くっ。行きたい!!」
「じゃあ決まりだな。」

旦那がうれしそうに笑う。
こんな笑顔、久しぶりに見た。

「すごくうれしそうだね。」
「まぁな。」

なんか、恥ずかしい……
「楽しみにしてるねっ」
早口で返事をして、お風呂へ向かう。

鏡をみると、頬は赤く染まっていた。

油断してた。
まさか、デートに誘われるとは。
あんな笑顔を見せられるとは。
その笑顔にときめいてしまうとは。。。

旦那にときめくことなんて、今さら無いと思ってたのに。
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