バレンタイン・プレゼント
「・・・ずっと抑えてたんだけど・・・もう限界だ」

「え」と思う間もなく、如月さんが私の顎に指を添えて、顔を上げさせた。
そして私にキスをしてくれた。

最初は唇に。
その次も、唇に。

それから、涙で濡れた私の頬を伝うように。

「・・・かすみ・・今夜はうちに泊まれよ」
「ぇ・・ぁの・・・明日、は・・しごとが・・・」

それは・・・。

「寝坊しても俺が起こしてやるから」と如月さんが、私の頬を手のひらで挟むように、そっと触れた。

「今夜は俺と一緒に過ごそう」

今日はイブの魔法にでもかかっているのかもしれない。
私だけじゃなくて、如月さんも、きっと・・・。

だったら、あと一晩だけロマンチックな夢を見続けてもいいじゃない。

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