お兄ちゃんに恋をした

振り回される日々


~ 振り回される日々 ~【佳奈sida】

「佳奈ちゃんおはよう」
「おはようございます」

あれから二週間がたち、本当の家族のような雰囲気になった。
いつものように私と桜子さんは朝食を作った。

「母さん、俺の制服しらない?」

優くんが起きてきた。

「そこに掛けてあるわよー」

優くんが着ていた制服は隣の男子校の制服だった。

「ねえ、佳奈ちゃん。そういえば彼氏とかいるの?」
「い、いませんよ!」
「可愛いのに~もったいないなぁ~」

桜子さんと初めて恋愛話をした。
私は彼氏いない歴=年齢。高校デビューなんて考えたことなかった。
それだけ男に興味が無いってことかな。
朝食を済ませ、私と優くんは一緒に登校することなった。
キスのこともあって気まずい雰囲気だったが、優くんを呼びに部屋に向かった。

「優くん、そろそろ…」

あれ?部屋には居なかった。 でもカバンはまだあるし…
男の子の部屋ってこんな匂いなんだ。かすかに香る香水の匂いがした。

「おい、人の部屋勝手に入ってんだよ」

優くん…!?二週間前とは人が変わったように見た目が激変していた。
伊達メガネに、ストレートがかかっている黒髪、制服もちゃんと着こなしている。

「居ると思ったら居なかったので…」

こうやって話したのも、キスの時以来。

「あーそ。じゃあ行くよ。あといい加減敬語禁止、兄妹なんだから」
「分かった」

優くんと一緒に家を出た。

「ねえ、なんで大人しいの?」

雰囲気が違いすぎて、思わず静かになってしまった。

「いや、雰囲気違うなって思って。」
「こっちの俺やだ?」
「ううん!すごくいいと思う。」

まぁ、元がいいからなんでもありだと思うんだけど。

「佳奈はこっちの俺が好きなのか~」

誰も好きだなんて言ってないし、優くんってたまに自意識過剰なところあるんだよね。

「ゆーうーくーん♡」

男の人が優くんを呼んでいた。
優くんと同じ制服を着ていた。
こげ茶の髪色に、顔立ちもはっきりしている。

「おう、遼おはよ」

遼くんって言うんだ。やっぱり男子校ってイケメン多いなー。

「あれっ!?お前新しい彼女?もう別れたの?」

彼女?ないないない。別れたってどういうことだろう。

「なわけねーだろ、こいつ妹」
「再婚相手の!ってこんな可愛い子なら紹介してよ~」
「佳奈って言う」
「佳奈ちゃんよろしくね!俺は遼!」
「宜しくお願いします」

再婚したのは知ってたみたい。
遼くんに挨拶をし、私たちは、それぞれの学校に向かった。


「おはよう佳奈さん」

私の学校で一番の美女。中城美麗(なかじょうみれい)さんだった。

「おはようございます」

私が美麗さんと話したのは、今回が初めて。近寄れないオーラがあったから。

「ねえ、、あなた黒川くんとどういう関係なんです?」

黒川くん…遼くんのことかな!

「さっき、初めて会ったばかりですよ」
「にしては、仲良さそうでしたわよ」
「私のお兄ちゃんの友達だったので、お話してました」
「え、あなたにお兄様がいたのは初耳だわ。そういうことだったのね。ありがとう」

そういうと、美麗さんはホッとして、学校に入った。
やっぱり、スタイルがいいから上からの威圧感が怖かった。
一体何だったんだろう。遼くんってモテモテなのかなー。もしかして嫉妬とか。

「あー!佳奈ー!」

親友の金木樹菜(かねきじゅな)。いつも笑顔で、クラスのムードメーカー。
ちょっと抜けていて、男女共にモテモテ。私とは真逆のスタイル。二個上の彼氏がいる。

「ねえ、樹菜聞きたいことあるんだけど」

美麗さんが言っていた黒川くん、遼くんのことが気になって聞いてみた。

「隣の男子校いる、黒川くんって一体どんな人なの?」

すると、樹菜は目を大きく見開いてこう言った。

「え!黒川くん!なんで知ってるの?生徒会長だよ!
めっちゃイケメンで…特に、好きな人にしか見せないギャップは…」

樹菜が興奮しながら遼くんのことを語り始めた。

「今日ね、たまたまお兄ちゃんの友達で会ったんだ」
「あ、そっか。佳奈のお父さん再婚したもんね。どう上手くいってる?」
「うん、お母さんはとっても美人。お兄ちゃんはー」
「お兄ちゃんは?」
「クールかな」

出会ってから、あまり話もしていないからまだ良く分からない。
キスのことなんて言えるはずないし。

「なんだそれ、他になんかあるでしょ!」
「あ、高校三年生」
「ほお、玲央と一緒だ。」
「そうだね」

若本玲央(わかもとれお)くんは、樹菜の彼氏。
優くんと同じ学校に通っている高校三年生。
今日は学校が早く終わり、樹菜と買い物に行くことになった。
平日でも大混雑で有名な洋服店に行った。

「わーめっちゃ混んでる」
「すご」

店には、若い年代のカップルから、妊婦さん、老人夫婦までいた。

ピロン
優くんからだった。
珍しい。いつも私から連絡をするのに。

" 今どこにいるの "
" 洋服店にいるよ "

それからは連絡はなかった。

「樹菜、、お手洗い行ってくるね」
「おっけー」

お手洗いを済ませ、樹菜を探した。大混雑していたため、すぐには見つからなかった。
すると、男の人とぶつかってしまった。

「ごめんなさい」
「あ、大丈夫、、って佳奈」

やっぱりどこかで聞いた時のある声だった。

「ゆ、優くん!?なんで」
「たまたま寄ってみた。でも俺人多いとこ無理だから先帰る」
「分かった、気をつけてね」

優くんって人多いところ苦手なんだ。じゃあなんで来たのかな。
その後、樹菜と合流し、買い物をしてから帰った。
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