くるみさんの不運な一日
「まあ、関係ないけど、」

「でしょ? だから別に手伝わなくても――」

「でも目の前でぶっ倒れられて、知らん顔してんのもどうかと思うし」

「は?」

「それにまあ……知らない仲でもないし」

「は!?」

「どっちかって言えば、そこそこ深い仲だしな」

含みのある言い方に、振り返った先。


ソファに座る天川智明は、(やわ)らかい笑みを浮かべてスポーツ飲料を差し出してた。


――何で今更優しくすんの?


その質問は頭に浮かんですぐに消えた。


「今更」じゃない。


天川智明はベッドの上でも優しかった。
< 117 / 247 >

この作品をシェア

pagetop