くるみさんの不運な一日
あんな事があったのに、酷い事まで言ったくせに、なのに食事に誘うなんて、期待して――しまったんだろうか。


やっぱりあたしは心のどこかで、何かを期待してたんだろうか。


それが何の期待だか分からないし、当然またヤりたいとも思わないけど、同僚の枠を超えた何かを期待してた……気がする。


こんな男最低だって、こんな男最悪だって、思えば思うほど思い出してしまう、あの時の天川智明。


「可愛い」って言った。


何回も、何回も、何回も。


そういう言葉は遊びの相手には絶対言っちゃダメなのに、「可愛い」って何度も言った。


その大きな体ですっぽりあたしを包み込んで、不安なんて何も感じさせないで、あたしが愛おしいって感じいっぱいに、あたしの体にキスをした。
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