くるみさんの不運な一日
「どこでもいい」

そう言うしかないあたしに、


「食べたい物は?」

彼は優しく問い掛ける。


「あ、あたしは何でもいい!」

再び委《ゆだ》ねたあたしの言葉に、


「美味い鍋の店があるからそこにする?」

彼は優しく導《みちび》いてくれる。


「鍋?」

「暑いけど、暑い時こそ熱いもんだろ」

「鍋好きなの?」

「くるみ嫌い?」
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