イミテーションラブ
その後大学を卒業して、内定をもらった会社に行く事が決まっていた。
入社式を済ませ研修が行われ、新入社員は各部門へと配属される。
「新入社員の城山智花さんだ。」
課長から連絡事項と共に職場の人達に紹介される。
「城山です。よ、よろしくお願いします!」
ペコッと頭を下げて、挨拶をする。
緊張で胸が一杯になり、心臓が早撃ちする。
「広瀬、指導してあげて」
課長が簡単にそう言うと、朝から会議があると言って早々に立ち去ってしまった。
自分たちのデスクへと皆が戻り、私は紹介された広瀬という先輩に改めて頭を下げる。
「ご指導宜しくお願いします!」
深くお辞儀をしてから顔をあげて、しっかりとその先輩の顔をみた。
紺のスラックスにワイシャツを腕まで捲って、首のボタンは一つだけ外している。
そこから覗く自分の名刺が入ったホルダーを首からぶら下げていた。
体つきはすらっとした体格で、筋肉質。薄いワイシャツが彼の魅力をより引き立てていた。
優しそうな雰囲気を持つ顔面偏差値が高めの、どこかで見たことのあるような親近感。
「……」
あれ?
どこかじゃなく、知ってる顔だ。
最初はピンと来なかった。
どこだろう…どこ…

数秒後にすぐに思い出した。
バイト先の…常連さん。
私がズボンの裾を濡らしてしまったお客さん。

「城山さん、こっち来て。最初は簡単な仕事から覚えて」
広瀬さんは私の事を覚えてないのか、デスクを案内して業務を教え始めた。

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