恋心は隠せない
「・・・ほんとに?なら、すげえショックなんだけど」

「え・・・?」

「言わせたいから待ってたけど。違うなら、逆に奪っていい?」

「!?」

右手に触れられ、思わず、荷物をすべて落としてしまった。紙袋からは、片桐に宛てた手紙まで出てきてしまう。

う、うわ・・・!

時はすでに遅かった。片桐は、思いっきりその手紙を開いて読んでしまっていた。

「わーっ!!読むなー!!」

「なんで。オレ宛てだろ」

「でもでも・・・っ!」

騒ぐ私の唇に、片桐は人差し指を当ててきた。心臓が止まった私の目には、見たことのない、優しくて甘い顔が向けられた。

「じゃあ、口で言えよ」

「えっ・・・」

「なんて書いたの?」

「・・・え、あ・・・そ、その・・・」

「ん?」

「す、好、き・・・って」

恋する相手の、眼差しには逆らえなかった。

正直に告白すると、片桐は嬉しそうな顔をした。

「オレも好き。・・・言えよ、さっさと」

片桐は、甘い顔でそう言った。

言えよって、そうだったなら、そっちから先に言ってほしい。

そんなことを思ったけれど、今はもうどうでもいいや。

だって、当てられていた指先は、いつの間にか、彼のキスに変わっていたから。


END
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