桜吹雪の中で
講堂を出て、下駄箱に行くと結子が
クラスの子と一緒にいるのが見えた。
結子は私に気が付き、駆け寄ってきた。
結子は
高校2年になっても周りと中々打ち解けられずにいた私と、唯一仲良くなった1年から同じクラスの友達。
結子は私と違い、まわりと仲良くなれるけど、私が心配でいつも気にかけてくれる。
「菜美、遅いよ!何してたの!
めっちゃ待たされたんだけどー!!」
結子は私のほっぺを引っ張りながら
若干、怒っていた。
「ごめん、ごめん
まあ、いろいろあったんよ!聞いて!」
「え、なになに?中村先輩?!
仕方ない、聞いてやろう」
走ってきてズレたであろうメガネを
かけ直し、結子は機嫌を直してくれた。
私はニヤつきを抑えながらも
演劇部の仮部員について帰りながら結子に話した。
結子はよかったね、よかったねと
何度も共感してくれた。
私と結子は家が近所ということもあり、よく結子の家で話し込んでいた。
「菜美、今日はうちに来る?」
「いや、今日は勉強するわ」
「さすが、菜美。
偉いねー!うちも見習おう!
じゃあ、また明日ね!」
結子と別れて
家に帰った。