桜吹雪の中で
「あの…
君、昨日の仮入部さんだよね?」
声をかけられて、すぐ我に返った。
部員さんかなと思い、右側を見ると
隣に中村先輩がいた。
夢だと思い
私は立ち止まり静止してしまった。
「あの…違いましたか?」
答えなきゃ!答えなきゃ!
でも、言葉が出てこない。
慌てて頷いた。
「あー、よかった。
間違ってのかと思ったわー」
気づけば少し離れた周りに女子達が集まっていた。
視線が痛い。
おそらくなんだあの女って思われているだろう。
「いきなり、ごめんな。
仮部員とかあんまり公にしたくないんだ…
だから、これは秘密でよろしくね」
中村先輩は
しーというポーズを取りヒソヒソと私にだけ聞こえるように話してくれた。
そのまま先に行く先輩を立ち止まり、見ていることしか出来なかった。