桜吹雪の中で
分からない。


仲良くしようと思い声をかけた。

「道流ちゃんだよね?
改めまして、私小川菜美。よろしくね」

「菜美ちゃんね…ふーん。」

そう言い、道流ちゃんは私を下から上へと見回した。思わず固くなってしまった。

道流ちゃんの後ろに座ってた小野くんがすかさず、止めてくれた。



「道流、菜美さんはとってもいい人だから
そんなジロジロ見ないでよ」

「翼が女の子の名前言ってる…
なんで?この子だけ??」


小野くんが言葉に詰まっていた。

確かにどうして名前呼びなのか気になった。
小川さんでもいいのに…
菜美さんって呼ばれることに慣れていた。


「まぁ、そんなのいいや。
私はなんか菜美ちゃんのこと気に入らない!

ごめんね。私、翼がいれば充分だからさっ」

さすがに腹が立った。
仲良くしようと思ったのに、なんでその態度!!


小野くんに助けを求め、視線を向けたら
小野くんは道流ちゃんに優しく、そんな事言わないでと飴を1つ渡した。



周りから見たら対したことないかもしれない。

自分でも大したことないはず。


いつも隣にいて
いつも優しくて
楽しそうに演劇に夢中で
たくさん教えてくれて

小野くんがくれる飴が特別だと思ってた。





気づいたら廊下を走り、講堂の演劇部の倉庫にいた。





ぽたぽたと涙が溢れた。



分からない。

< 38 / 84 >

この作品をシェア

pagetop