お前の唇、奪っていい?


サンダルを履き玄関を出ると、俺のもうひとりの幼馴染ーー啓人が舞の家の前に立っていた




「あ。ごめんね、急に呼び出したりして」


「いやいいよ。...舞の家にいたんだな」


「あぁ、うん。あのさ、祐誠」


「ん?」




啓人は俯きながら俺の前に立ち、なんと深く頭を下げてごめん!と謝った




「実は今日、舞とその...したんだ。ごめん」




した、って...あれだよな...




「...別に謝ることじゃないだろ。お前らは付き合ってるんだから」


「でも、よくよく考えたら、それは"約束"に含まれてるのかなって。
俺は舞のこと、本気で好きだけど、舞は違うと思うから。
...舞、後で後悔するだろうなって」


「約束とか、もう考えるな。もういいんだよ」




あの日俺と啓人が交わした"約束"


でも、もうそんな約束は必要ない


俺は今後一切舞とは関わらないと決めた




「舞を、よろしくな」




だからこの想いは、舞と共に忘れよう




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