『ドルチェ♬』
チューニング…、調律のことだよね…

そういえば、1週間前合わせてそれで音あってたからそれから手つけてないような…

…もしかして、音ずれちゃってる?!

と、急いでベースに駆け寄りペグを見つめた後、ベースを急いで担ぎ弦を弾いてみる。

が、それは僅かにズレた音を出していることに気付き目を見開いた。

(いつも音ずらしちゃうのは、これのせいだったんだ…)

ベースを担いだまま呆然としている私に

『やっぱり…、1週間前からチューニング、サボってただろ?』

そうこぼした奏汰の言葉は図星で私はコクリと頷くなり顔を背けてしまう。

『チューナーは?』

と奏汰に頭をポンポンと励ますように優しく撫でられ、そのさり気ない優しさにまた胸がドクンと鳴った。

私はそんな気持ちを悟られないようにチューナーを、取りに行くことを理由にその場を離れた。

チューナーは、ベースを調律する時にベースにセットして使う機器で確かサブバに入れていた記憶があった私はすぐさまサブバをあさる。

けど、どれだけあさっても一向に見つからないチューナーを不思議に思うもすぐに思い出す。

『あっ…、家だ…』

最近使わなかったチューナーを家に置いてきていたのだ。

サブバをあさっていた手をピタッ…と私は止めるとその場で落胆した。
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