私の愛しいポリアンナ





「高校の時の元彼から会おうって誘われて行ってみたら!」

「行ってみたら?」

「ネズミ講だったんですよ!!」


だーれが福利の会なんかに入会するかぁ!っとデスクの書類をゴミ箱に突っ込みながらミヨちゃんは叫ぶ。
あぁ、ダシにされそうになったんだ、なんてみのりは思いながらも、顔には微塵も出さない。


「ネズミ講って、何?」


首をかしげてそう言えば、ミヨちゃんにうろんな目を向けられた。


「犯罪ですよ、犯罪。詐欺です。絶対稼げるよ、なんて甘い言葉でお金を取ろうとするんです」


もう最悪、とミヨちゃんはうなだれる。

これは傷が深いらしい。
まぁ、数日前からの彼女の浮かれっぷりを考えるに、本気で楽しみにしていたのだろう。
なのに実際会ってみたら詐欺の勧誘だったなんて、確かに凹むはずだ。

なんだかかわいそうになって、みのりは自分のために買ったドライオレンジをミヨちゃんにあげる。


「ミヨちゃん、元彼さんと会うの楽しみにしてたんだねえ」

「そりゃあそうですよ。大学受験に集中したいって別れたので、嫌いになったわけじゃなかったし。大学に入ってからも、ずっと復縁を言い出せなくて、今でも後悔してた人ですから」


「なのに、なんでネズミ講・・・」と情けない声を出すミヨちゃん。
今日の彼女は使い物にならなそうだ。
仕事に私情は持ち込まないようにしてほしいが、この落ち込みっぷりに厳しい言葉をかけるのは躊躇われる。






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