私の愛しいポリアンナ





「知ってますよ。あなたが鹿川カジノ計画の出資者の一人だってこと」

「知ってたか」

「ちいさく載ってましたもん、あなたの名前と会社名が」


船萩寺市長、市議会議員、ホテル経営者。
色々な業界の関係者が共同出資で実現にこじつけた鹿川のカジノ化計画。
出資者一覧に、しっかりと設楽秋の名前があった。
また、意外なことに秋の実家の歌舞伎座の名前もあった。


「ご実家も出資されてたのが意外でした」

「もともとカジノは外国人観光客向けに作る予定だったからな。日本の伝統文化を鑑賞できる施設も作る予定なんだ」


確かに、歌舞伎や舞妓は外国人には受けがいいだろう。
能や人形浄瑠璃も確かに素晴らしい日本の伝統文化と言えるが、いかんせん派手さに欠ける。

みのりはそこまで詳しくない知識で好き勝手なことをあれこれ考えていた。


「私の好きなタツヤが鹿川にいるって聞いた時、どう思ったんですか?」

「鹿川の様子をこの目で確かめる良い機会だと思ったよ」


素直に言われる。
みのりはコップの中の水を飲み干す。
コップの周りには水滴がたくさん付いている。
チカチカと瞬く蛍光灯の明かりが水滴に反射する。




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