初恋のクローバー


「和哉くん!!」


「ふ、風結……?なんで……」


探していた姿を見つけて駆け寄ると、彼はこれでもかというほどに目を見開いて困惑を口に出した。


「へへっ、きちゃった」


2度目に会う彼の姿に嬉しさがこみ上げる。


電話ではあんなに心地よかった彼の声が、なぜか今は私の胸を騒がせた。


「予定が入ってたんじゃ…?」


「おばあちゃんのお見舞いは明日にしてもらったの」


「え……あ、ごめん。わざわざ約束を取り消して応援にきてもらって……」


「私が決めたことなのに、なんで和哉くんが謝るの?それに今日は、応援にきただけじゃないんだよ」


「え…?」


「手、出して」


「…………?」


「はい」


不思議そうな顔で出された彼の左手に、私は持っていたカバンからあるものを取り出して置いた。


「…っ!?これ……」


「そのお守り、私の宝物なの。今日はそれを和哉くんに渡したくてきたんだ」


「俺に…?」


右手に持ち替えたお守りを見つめていた彼の目が、まっすぐに私を捕える。


「……っ」


その瞳に揺らぎそうになる自分の心に首を振ってから、私も彼をまっすぐに見つめた。

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