初恋のクローバー
「和哉くん、優勝おめでとうっ!」
「うん、ありがとう」
嬉しそうに顔をほころばせた彼に、私も自然と笑みがこぼれる。
予選で圧巻の走りを見せた彼はそのまま準決勝と決勝に進み、見事な成績を残した。
これまで上位を取っていた他の選手を遮って優勝を獲得した彼を、観客は驚きの声で賞賛していた。
「あれが、和哉くんの本当の走りなんだね」
人混みを避けてゆっくり話すために足を運んだのは、彼にお守りを渡した場所。
気持ちのいい風に吹かれながら、私は彼に笑顔を見せた。
「想像してたより全然速くて、びっくりした。
プレッシャー、克服できたんだね」
「うん。風結のおかげだよ」
「え?私は何も……」
「走る前、俺の名前を呼んでくれたでしょ?」
「あ、あれは……」
レーンに立った和哉くんが難しい顔をしてたから、心配になってつい……。
彼の名前を呼んだあとに周りから注目されたことを思い出して、恥ずかしさで体温が少し上がった。
「あれで完全に吹っ切れたよ。今日俺が勝てたのは風結のおかげ。ありがとう」
「………うん。和哉くんの力になれたみたいで、私も嬉しい。こちらこそ、ありがとう」
「あはは、うん。どういたしまして」