初恋のクローバー


「ダメ……っ、ダメだよっ…手術をしないと、歩くことも、できないんだよっ…?」


生暖かい粒が、頬をしたたり落ちていく。


揺らぐ視界の中で、微笑する彼に必死に訴えかけた。


「…いいんだよ。あ、そうだ。これからは陸上じゃなくて、車椅子の練習を始めようかな」


「っ……なん、でっ…?ど、して……そんなことっ、言うの……」


途切れ途切れに言葉を紡げば、苦しそうな彼の声が届いてきた。


「……今じゃなきゃ、意味がないんだ。今、走りたいんだっ……頑張っても、最後の舞台にも上がれないかもしれないなんて…っ、そんなの、俺には耐えられない……っ」


「っ、」


頑張っても、報われないかもしれない。


対等ではないけど、その気持ちは知っている。


頑張って、頑張って。
置いていかれる毎日の中で、必死にあらがってきた。
それでも最後には、耐えられなくて逃げてしまった。


その辛さは、何にも代えがたい。
でも、それでも……


「和哉くんにはっ、まだ……先があるっ。未来がっ、あるんだよ……っ、可能性は、少ないかもしれないっ……でも、それは諦める理由には、ならないよ……っ」


「…っ、それでも、その少ない可能性のために頑張ることの意味がっ…今の俺にはないんだよ……っ」


「……!」

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