不埒な先生のいびつな溺愛
Xデーまで一ヶ月
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それからの一ヶ月間で、私は伏見さんに三度お会いすることができた。

ディナー、映画、そして自宅マンション。順当に段階を踏んでいくタイプの、三種類のデート。

その間に、ネイルもピンクから、パールを乗せたヌーディベージュに変えた。

最初のデートは仕事終わりのディナーのみだった。

美味しいフレンチで、伏見さんも私も、どちらも行ったことのないお店を予約してくれた、とのこと。

寒くなりかけの秋の終わりで、こんな、都内のイルミネーションをくぐり抜けた先の駅前で待ち合わせだなんて。デートでなければ寂しいに違いなかった。

指定された改札を出て案内板の前に立っていると、写真で見た爽やかな男性が、キョロキョロしながらやってきた。

「……あ。秋原さん、ですか?」

私の前を通りかかるとき、伏見さんはすぐに気づいた。

「はい。良かった、会えましたね」

「お待たせしてすみません、伏見です。お仕事は大丈夫でしたか?」

「ええ。木島編集長にニヤニヤ送り出されてしまいまして。定時帰りで」

写真ではフレッシュな印象だったけれど、会って話してみると、落ち着いていて物腰も柔らかい人だった。

「すみません、僕たぶん、スゲー舞い上がってます」

伏見さんは、しばらく歩きながら、ふいにそう言った。

「伏見さん……」

体にピッタリと合ったスーツに、きちんとセットされた髪。

いつも目にしている久遠先生の、色気を駄々漏れにしたスタイルとはまた違う、清楚でキラキラした男性だ。

目の前の王子様のようなその人に、言われ慣れていない言葉を何度も貰えるたび、心臓が破裂してしまうんじゃないかと思った。
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