わたしのキャラメル王子様
「楽しみな気持ちはわかるけど、明日の服のことを考える前に、今すぐ服を着なさい」



「はぁ~い」



部屋に上がって服を着て、ふと自分の顔を鏡で覗き込んだ。悩みは服だけじゃない。



メイクどうしよ!
髪、どうしよ!



念のため……もしものときの場合を想定して、勝負下着つけていかなきゃいけなかったりする?
そんなもの持ってませんけど?



いやいや初デートでその展開はないはず。でも私達って次はいつ会えるの?
約束もできないほど……1年も2年も、もしかしたらそれ以上になるかもしれないんだ。
そんなことを考えるだけで泣きそうになった。




でも。だったら今を大事にしなきゃ。
となると……と、なると?
みんなはどうする?
なにをどうしたらいいの?



「ねぇ京ちゃん!」



手に取ったのはドライヤーじゃなくてスマホ。こういうとき頼れるのは京ちゃんしかいない。



「はいはいはーい♪どしたー?」



「今しゃべれる?」



「全然平気だよ」



「実は明日初デートなんだけど、あっ、場所は遊園地でね!」



いろいろ話を聞いてもらったけど、散々あれがいいこれがいいと盛り上がった後で京ちゃんは悟ったようにこう言った。



「ねぇ、佐野君に決めてもらったら?」



「それ……すごくいいかも!」



そんなこと思いつきもしなかった。
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