小悪魔カレシの甘い罰
秘密のミーティング





 オレンジ色のカクテルをテーブルに置き一息つく。
 
 アルコールが喉を通っていく感覚に、自然と気持ちが解れた。


 向かいに座った志保が「で?」と、目を細める。

「でって?」
 
 話題は見当がついている。
 
 けれど核心に触れるのを避けた美桜は、そう切り返した。


「業界一の天才に選ばれた感想は?」

 志保は手のひらでグーを作ると、マイクに見立てて美桜に向ける。


「感想って…がんばりマス」


 美桜はなるべく動揺を隠しつつ、そっけなく答える。


 正直、その質問は耳にタコだった。




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