最恐ドクターの手懐けかた




でも……曲が始まると、やっぱり釘付けになった。

不覚にも釘付けになった。

耳に残って離れないフレーズ。

変な格好をしているにも関わらず、エッジの効いたギターや繊細なドラムの音にまで感動した。

……そう、感動してしまったのだ。





「レコード会社からオファーも来てる」




地下鉄の中の女子高生はそんなことを言っていたが……

その言葉は、あながち間違いではないのかもしれない。

遠藤先生は、天才だ。







結局、一晩中漢マンを聴いて終わった。

夜勤に備え、明け方から眠ったが……夢の中でも、漢マンがガンガンドラムを叩いて、あのふざけたマイクを持って、頭に染み付いて離れない歌を歌っていた。



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