私は恋を知らない、はずだった
私は、場の空気を明るくするため、
「もうすぐ春だね〜。季節の変わり目だし、体に気をつけてねっ。ばいば〜い」
とか言って、私は笑顔を振りまきながら、アヤと教室を出た。
いやほんと、わたしはアイドルのバイトでもしてるんかな?
体に気をつけてとか言ったらすごい器広そう。
帰る途中の廊下でも、話しかけられたりチラチラ視線を感じたりした。
けど、「急いでるんだ、ばいばい」と言ったら、皆「そっかー。ばいばーい」と言ってくれた。
ほんとは急いでないよ、面倒なだけだよ。
アヤの家に着き、入った瞬間、私はすぐにリビングに直行し、ふかふかのソファーに寝っ転がった。
なんの迷いもなく。