2月15日の告白【短編】
2月13日
日本人は、バレンタインの楽しみかたを間違えている。


隣で楽しそうに雑誌のバレンタイン特集を読む友人、湊アスカを横目で見ながら、私は心の中でつぶやいた。


そもそもバレンタインって、男の人が好きな人に花を渡すんじゃなかったっけ?


それが今や、義理チョコだの友チョコだの、たいして仲良くない人にさえチョコを渡さなきゃいけない時代だ。


「バレンタインって、義務感がすごい」


本音を零した私に、アスカは驚いたように目を見開いた。


「なんで?
好きな人に、気持ち込めて作ったチョコを食べてもらえる幸せな日だよ?
すごく素敵な日なんだよ?」


そんな可愛いことを言うアスカには、素敵な彼氏がいる。


幼なじみだった二人は、素敵さゆえの人気の高さと、アスカのツンデレというハードル(?)を乗り越えて、クリスマスに無事付き合い始めた。


そりゃあ、アスカにとっては素敵な日でしょうよ。


なんてったって、付き合って最初のバレンタイン。


気合いも入るでしょうよ。


普段、サバサバしたタイプをよそおっている(本当はとても乙女な心を持っている)事なんて忘れて、そんな甘々な雑誌のページを読めるくらいには。
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