愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「ほら、覚えてない?あなたが小さい時によく一緒に遊んだ雫ちゃんよ」
「しずくちゃん……?」
「あなたが3歳から6歳くらいまでよく一緒に遊んだのよ。私の同級生の里美さんの娘さん。M大を出て、今女性下着メーカーのニケーに勤めてるの」
情報が整理できない。
つまり、お見合い相手は母の友人の娘さんで俺は小さい頃遊んだことがあると。それがこの写真の女性だと。
「ああ、そうだ。あなたよくベアぞうを貸してあげたじゃない。雫ちゃんが泣くたび、ベアぞうを抱っこさせてあげて慰めてたわよ」
ベアぞう……それは俺が幼少期、常に抱いていたクマのぬいぐるみだ。50センチくらいある大きなテディベアで、どこにいくにもお伴させていたものだ。
言われてみれば思い出してきたぞ。
まだ実家が都内にあった頃だ。母はよく友人を家に招いた。その中で何度か小さな女の子がついてきたことがあった。
俺が覚えている範囲での彼女は、よちよち歩きから走りまわりペラペラ喋る幼児期くらいまでだ。一年半程度の期間だろうか。
母親たちがお喋りに夢中になっている中、俺は彼女を押し付けられ「遊んでらっしゃい」と言われる理不尽に首を傾げたものだった。
なにしろ、相手は赤ん坊に毛が生えた程度の幼児だ。幼稚園生だった俺は、すぐに泣いてしまう彼女に手を焼き、何度目かにベアぞうを貸してやったのだ。
これはてきめんだった。彼女はベアぞうをいたく気に入り、俺の家に遊びにくるたび「くましゃん」とベアぞうを所望するようになった。
ご機嫌に笑っていれば、小さな女の子は可愛いものだ。
兄弟のいなかった俺は、たまにやってくる少女にベアぞうを貸してやっては、おままごとの相手をした。いつも帰り際、今日こそベアぞうを連れて行かれてしまうのではないかと怯えていたが、毎度彼女は素直にベアぞうを返してくれた。
彼女からすれば、この家で会える友人がベアぞうと俺だったのだろう。
「しずくちゃん……?」
「あなたが3歳から6歳くらいまでよく一緒に遊んだのよ。私の同級生の里美さんの娘さん。M大を出て、今女性下着メーカーのニケーに勤めてるの」
情報が整理できない。
つまり、お見合い相手は母の友人の娘さんで俺は小さい頃遊んだことがあると。それがこの写真の女性だと。
「ああ、そうだ。あなたよくベアぞうを貸してあげたじゃない。雫ちゃんが泣くたび、ベアぞうを抱っこさせてあげて慰めてたわよ」
ベアぞう……それは俺が幼少期、常に抱いていたクマのぬいぐるみだ。50センチくらいある大きなテディベアで、どこにいくにもお伴させていたものだ。
言われてみれば思い出してきたぞ。
まだ実家が都内にあった頃だ。母はよく友人を家に招いた。その中で何度か小さな女の子がついてきたことがあった。
俺が覚えている範囲での彼女は、よちよち歩きから走りまわりペラペラ喋る幼児期くらいまでだ。一年半程度の期間だろうか。
母親たちがお喋りに夢中になっている中、俺は彼女を押し付けられ「遊んでらっしゃい」と言われる理不尽に首を傾げたものだった。
なにしろ、相手は赤ん坊に毛が生えた程度の幼児だ。幼稚園生だった俺は、すぐに泣いてしまう彼女に手を焼き、何度目かにベアぞうを貸してやったのだ。
これはてきめんだった。彼女はベアぞうをいたく気に入り、俺の家に遊びにくるたび「くましゃん」とベアぞうを所望するようになった。
ご機嫌に笑っていれば、小さな女の子は可愛いものだ。
兄弟のいなかった俺は、たまにやってくる少女にベアぞうを貸してやっては、おままごとの相手をした。いつも帰り際、今日こそベアぞうを連れて行かれてしまうのではないかと怯えていたが、毎度彼女は素直にベアぞうを返してくれた。
彼女からすれば、この家で会える友人がベアぞうと俺だったのだろう。