愛され新婚ライフ~クールな彼は極あま旦那様~
「ライトオタクだもん。私ごときがオタを名乗るなぞ、本職のオタクの人に失礼……」
「そういう話をしてるんじゃないの!」

母がぴしりと言い切る。私は子どものように首をすくめた。

「このままあんたが誰とも恋愛せずに花の盛りを過ぎていくのは可哀想かなと私もお父さんも思い始めたの!祐樹は昔からちょいちょい彼女を紹介してくれる子だったし、案外すぐに結婚しちゃうとは思うけどね。私たちが死んだ後、あんたに何があった時、祐樹とその家族に任せるのも負担でしょう?」

祐樹とは私の弟の名前。
現在は転勤で福岡勤務の商社マンだ。確かにあの子は要領いいし、顔も悪くない。結構もてるから、すぐに結婚できそうだけどさぁ。

「私って祐樹に面倒かけそう?」
「今の状態じゃ、あり得るわ」

んん~、つまり両親は、ひとりでこの家に住みアニメや漫画に囲まれて年をとっていき、老後は弟家族の厄介になりそうな私が心配になったわけだ。

「いい方と結婚してくれたらお父さんとお母さんも安心なんだけどなぁって考えてたら、なんとなんと渡りに船のいいお話があってね!」

身を乗り出してくる母に、私は渋い顔をして見せた。
ここにこぎつけたかったのはわかるけど、娘をディスりすぎじゃない?
面倒だけど、朝食を食べ終わらないのでわざとらしく逃げ出せない。仕方ない、話だけ聞いておこう。断ればいいんだし。

「この前お母さん、久しぶりに晶子おばちゃんとランチしたのよ。ほら、あんたが小さい時何度も会った」
「え、ごめん。覚えてない」
「やだ、覚えてないの?まあ、そっかあんたふたつとか三つだったものね。たくさん遊んでもらったのよ、高晴くんに」
「たかはるくん??」

こちらに覚えのない思い出話を並べられて、首を傾げる私に、お母さんは滔々と話し出す。

「晶子ちゃんはもともと私の女子大時代のお友達でね。卒業してすぐに十も上の方とご結婚して、息子の高晴くんが産まれてねぇ。あの子が小学校に上がるまで東京にいたのよ。それから群馬のご義実家に入ってね」
「はあはあ」
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