雨と制服とジャージ
屋根のある廊下までたどり着く。その後は先生の後ろを離れて歩いて、体育教官室に立ち寄った。

誰もいない教官室は電気が消えていた。
先生がスイッチをつけると、雑然としたデスクや、資料の棚が目に飛び込む。
濡れた鞄を胸の前で抱きしめていたら、先生が白いバスタオルを手渡してきた。

「あ、ありがとうございます」
「何でこんな時間までいたんだ?」

先生も髪が濡れてて、色っぽい。

「数学の居残りで……」
「そりゃ仕方ねえな」

先生はそう笑うと、ばさりとジャケットを脱いだ。
むせ返るような大人の色香が漂って、いつもの先生じゃないみたい。

「止まねえなぁ」

先生は小さな窓から曇天を見上げる。私も、その小さな窓を一緒に覗いた。
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