君の姿、午後5時半【短編】
全てが始まった日の話
私が半年前にバイトを始めて、一週間位してからこの男の子は此処の店へ通い出した。


この子が来る時間は、いつも今日と同じくらいである。


色々なお客様を相手する仕事だから、一人一人の顔はあまり覚えてはいない。


寧ろ常連の人でなければ、一日に来るお客様の数が多過ぎて覚えられない。


でもこの男の子はいつも私の立っているレジばかりに来ていて、どれだけその列が混んでいようとも違うレジには絶対に行かないのが印象的だったから自然と覚えていた。


最初の頃はこのお店の常連なんだなあ、とか、家が近いから毎日此処に通ってるのかなあ。


そんな風にしか考えていなかったけれど、バイト仲間によれば私が休みの時は店には来ないと聞いてからは、私自身も不思議だと感じ始めていた。
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