舞蝶~絶望を知った女総長~ ※コメディあるZE☆
愛「んじゃ、ひと仕事しますかー」
頼「はい、これ今日の分です」
ドサッ
愛「……ゑ?」
頼「あ、こっちも今日の分です」
ドササッ
愛「……ゑ?」
頼「では僕は自分の仕事をしますので」
愛「……ゑ?」
ねえ、ライ……多くない……?
ねえ多くない……?
頼「なに呆けた顔してるんですか。いつも仕事に回してきた時間を学校に費やしているから普段よりも仕事量が多く感じるんですよ。甘んじて受け入れてください」
愛「こんな世界……間違ってるっ……!」
まぁやるんだけどね。
愛「ねぇぇええおかしいってぇぇ……もう何時? 2時過ぎてるよ? これから別方面の仕事もあるとか考えられないんですけどー」
今日は仕方ないから族潰しはお休みにするとしても、殺し屋の方とかはそんなに休めないからなぁー。
頼「…………人殺しなんて、やらなくても良いじゃないですか……」
愛「ん? ごめん、なんて言った? ビミョーに聞こえたような聞こえなかったような」
頼「……なんでもありませんよ」
……今考えたら普通に聞こえてたわ。めんご、ライ……。
……あー……うん、でも、そっか。なるほど。ライはそういう考え方なんだなぁ……。
でもな?
愛「どんなに汚くとも、結局は誰かがやらないといけないんだよ」
頼「……でも、愛乃さんがやらなくても」
愛「じゃあ、代わりにやってくれる?」
頼「……っそれ、は……」
言い淀むライに「これは私の勝手なエゴなんだけど」と繋げた。
愛「そうやって人が汚いところから目を背け続けていたら、世界はその内壊れちゃうと思うんだよね。規模は違えど……私の世界がそうだったように」
頼「っ!」
愛「これ以上かつての私のように、悲しむ人を作りたくない。だからいずれ誰かがやらなきゃなんないなら、私がやる。少しでも多くの幸せを作る。……なーんて、一人間が言ったところで無謀なのは分かってるんだけどね」
頼「……いえ。とても素敵な考え方だと思います」
愛「ほんと? ……そう言ってもらえると救われる気がするよ。さ、仕事しなきゃな!」
頼「(これ以上悲しむ人を作りたくない……か。僕の上司は大物だな)」
鼻歌を歌いながら作業を進める自らの上司を見て、この人の部下で誇らしいと、頼はそう感じた。