嘘ごと、愛して。
第3章 元カレと親友

体育館裏でパンを片手に携帯で検索をかける。


男子高生が母親に贈るプレゼントって、何が適切なんだろう。
もしも裕貴が決めていなかったら、アドバイスできるようにと下調べしておく。


さっと調べると定番のものしか出でこない。


「なぁ、」


「なに、正義」


上から覗き込まれて画面に影がさす。

私が此処に居ることを知っていて気軽に声を掛けてくる人物は正義くらいだと思ったが、
視線を上げるとーー見知らぬ顔があった。


「あ、ごめんなさい」

ちょっと、油断してたもので。


「…相変わらず、正義のこと好きだな」


ため息交じりの言葉。


「…そんなことないです」


説得力はないがとりあえず否定しておく。


妹はこの人に、いつも正義の話をしていたのだろうか。



「どうしてこのようなところで食事を?」


金髪にパーマ、切れ長の瞳。
透き通るような色の白さもあわせて、英国の王子様を連想させる。


「…クラスに馴染めなくて」


女子生徒ときちんとした会話をまだしていない。
そもそもクラスメートとだって、正義以外とはそう話さない。適度な距離をとることが重要だから。


「また嫌がらせを受けているのか?」


「え?」


「もしそうなら正直に言ってくれると助かる。今度は君を救いたい」


「……ありがとう、でも大丈夫」


嫌がらせ?
そんな話は聞いたことがない。


"今度は"っていうことは、一度目は助けられなかったということ?

新たな人物の登場に、混乱していた。


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