フェイス
「葉月、その顔どうしたの!?」


「ちょっと荒れちゃった」


「ちょっとって、どうやったらそんなことになるのよ!」


慌ててかけて来るお母さん。


「大丈夫だよ。クリームとか塗れば治まるんだから」


「市販のクリームで治るわけないでしょ!?」


あたしを心配するせいか、声が大きくなっている。


あたしは思わず顔をしかめてしまった。


どれだけ怒鳴られたって、フェイスの事を話すわけにはいかない。


「明日病院へ行きましょう」


「明日は学校だよ」


「午前中だけ休めばいいでしょ。なにかのアレルギーかもしれないんだから」


「……わかったよ」


あたしはお母さんに根負けして、そう答えたのだった。
< 157 / 271 >

この作品をシェア

pagetop