絶対彼氏
でも……。


教室のドアを開けた瞬間、自分の中から怒りという感情がスッと消えて行くのがわかった。


それだけじゃない、喜び、悲しみ、驚き。


色んな感情がスッと抜け落ちて行くのがわかった。


呆然として立ちつくていると「おはよぉカレン」と、優奈が後ろから声をかけて来た。


あたしはそれへ向けて「おはよう」と返事をして、道を開ける。


その時もなんの感情も抱かなかった。


雄大へ向けた怒りなんて少しも残っていないまま、あたしは自分の席についたのだった。
< 265 / 280 >

この作品をシェア

pagetop