絶対彼氏
確かに、バランスの悪い走り方をしている洋二はカッコ悪く見えた。


それなのに早く走っているから、余計に気持が悪い。


「走り方が下手だっつてんだよ」


雄大がそう言い、また洋二の足を引っかけた。


学習能力を持たない洋二はまた同じようにこける。


頬の傷は大きくなり、体の中で火花が散っているのが見えた。


「次のアンケートには人間らしい感情って書いてみようかなぁ」


壊れて行く洋二を見て、あたしはそう呟いた。


「いいねぇ。そうすればこうやって蹴られた時に少しは反応するし?」
< 91 / 280 >

この作品をシェア

pagetop