色眼鏡
「これ、保健室に行ってる間に回って来た」


階段を上がっている途中で夏生がそう言い、ポケットから紙の端切れを取り出した。


それを受け取り、確認する。


その瞬間呼吸が止まった。


《里菜とまともに話をしたら罰金》


殴り書きでそう書かれていたのだ。


一瞬にして血の気が引いていく。


たかが学校内での出来事だ。


それに、クラスという更に小さなくくりでの出来事だ。


だけど、あたしにとってはそれが生活の大半をしめている。
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