色眼鏡
朝から簡単に『死ね』なんて言うワケない。


あたしのいる1年3組には大きなイジメもないし、みんな仲がいい。


派手グループのメンバーを苦手と思う生徒はいるけれど、それくらいはどこのクラスでもあるはずだった。


「どうしたの里菜。次移動だよ?」


美羽と仲の良い西田アヤがそう声をかけてきて我に返った。


いつの間にかホームルームが終り、1時間目の移動教室のためみんな動き始めていた。


「ちょっとボーっとしちゃった。ありがとうアヤ」


派手グループのメンバーだってこうして優しくしてくれる。


『死ね』なんて、きっとただの聞き間違いだ。


あたしはそう思い、教科書とノートを準備して立ち上がったのだった。
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