沈黙する記憶
「Kマートから少し西へ行った場所はホテル街だよ」


あたしがそう言うと、克矢は思い出したように「そうだったな」と、頷いた。


「うん。今朝の推理と当てはめてみると、杏はKマートで誰かと待ち合わせをしていたのかもしれない」


「だけど、杏が1人で歩いている所しか映っていなかったよね?」


さやが言う。


「あぁ。監視カメラがある場所を避けていたのかもしれない」


裕斗がそう言った。


Kマートは小さなスーパーだ。


監視カメラの台数も多くはないだろう。


その中で監視カメラに映らないように行動することは、困難ではないはずだ。


「やっぱり、問題は杏が誰と会っていたか、だな……」


裕斗が呟いて顎に手を当てたのだった。
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