沈黙する記憶
2人は
あたしが家に戻ってきた時、ちょうど裕斗からメールが送られてきた。


《そうか。念のため明日は俺が夏男に会ってみるよ》


その文面にあたしはムッとした。


まだ夏男の事を疑っているみたいだ。


だけど、明日夏男のあの姿を見れば、きっと誤解も解けるだろう。


《わかった。じゃぁ明日はあたしがみんなと一緒に杏を探しに行けばいいんだね？》


《あぁ。頼むよ》


あたしは裕斗からの返事を見てスマホを置いた。


あたしが夏男と一緒にいる間、みんなは杏が行かなさそうな場所まで探してくれていたようだ。


それでも杏はどこにもいなかった。


明日は一体どこを探せばいいのだろうかとため息が出る。


街の中はすべて探しつくしたといってもいいくらい、探してしまったのだ。


それでも、杏はどこにもいない。


もうあたしたちが探し出せる範囲にはいないのかもしれない……。
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