沈黙する記憶
夏休み~千奈side~
杏からのメールが届いたのは夏休みに入って3日目の事だった。


あたしは昼頃起きだし朝昼兼用のご飯を食べている時だった。


ダイニングテーブルに置いていたピンク色のスマホが鳴り、あたしはテレビからスマホへと視線をうつした。


共働きの両親は不在で、あたしは箸を口にくわえたままスマホを手に取った。


それが杏からのメールだった。


《千奈、あたし妊娠した》


そんな短いメールにあたしは口から箸を落としてしまった。


カランッと音を立てて床に落ちる音が聞こえてくる。


しかしあたしは箸をそのままに杏からのメールを何度も読み直した。
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