沈黙する記憶
「そうだ。だけどスマホを通話状態にしておいて常に状況が把握できるようにしておいてほしい」


裕斗の言葉にあたしは頷いた。


「それはできるけれど……」


なにかあった時に、外から鍵を開けて入ることはできるんだろうか?


手遅れにかる可能性の方が高い気がして、あたしは背筋が寒くなった。


「そんなに心配しなくていい。昨日の夏男の状態を見て思いついた策が1つあるんだ」


裕斗はそう言うと、「トランクを見てくれ」と、言葉を続けた。


あたしは身を乗り出して背もたれの後ろのトランクを確認した。
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