沈黙する記憶
「あたしね、妊娠したみたい」


思っていたよりも、大きな声でそう言っていた。


部屋の空気が停止し、夏男の表情が凍りつくのがわかった。


あぁ……杏に妊娠を告げられた時も夏男はこんな表情をしていたのだろうか?


とても冷たい、無表情を……。


それはあたしの心まで凍てついてしまいそうな冷たさを感じた。


「今、なんて言った?」


「……妊娠……したの……」


今度は泣いてしまいそうになるほど小さな声で、そう伝えたんだ……。
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